Press Release(参考資料)
2005年4月27日
世界最高のレイノルズ数を有するMHD チャネル乱流の時系列計算結果を、
AD-POWERs を用いた並列可視化システムでアニメーション化
東京理科大学 基礎工学部・講師 佐竹信一
京都大学大学院 工学研究科・助教授 功刀資彰
日本原子力研究所東海研究所エネルギーシステム研究部・主任研究員 高瀬和之
株式会社ケイ・ジー・ティー
東京理科大学佐竹講師らと潟Pイ・ジー・ティーらのグループは、 日本原子力研究所のVPP5000を用いて計算された約0.5テラバイトの大規模時系列データを、 AD−POWERSと可視化システムAVS/Expresを組み合わせたシステムでアニメーション化した。 これにより、大規模データのアニメーション化を、 市販アプリケーションと複数台のパソコンで安価に実用レベルの可視化ができることを実証した。(図参照)
今回の計算は、壁面せん断乱流計算に磁場が印加されており、 磁場が印加を有する場では世界最高のレイノルズ数約45000のチャネル内乱流の直接数値計算(Direct Numerical simulation)。 計算規模は、使用総メモリが240GB、使用した格子点数の総数が8億点。 MHD壁面せん断乱流の直接数値計算では世界のトップ規模である。
本問題も含めて、時間的な変化を取り扱う数値計算では、計算結果をアニメーション化して評価することが必須である。 アニメーション化には、計算に要したメモリ量と同等のメモリが必要だが、 一般に、大型の並列計算機で動作するアニメーションソフトウエアは存在しないし、運用上、 アニメーション作成のためにスーパーコンーピュータは利用できないことが多い(ベクトル効率やパラレル効率が低いため)。 しかし、個人レベルで240GBものメモリを持つ計算機を導入することは困難であり、これまで、 地球シミュレータなどの高速な計算機を使って大規模な計算をしても、その結果の一部、または、 間引きした粗いデータを使ってアニメーション化するしかなかった。
(株)ケイ・ジー・ティーは、シミュレーション結果を画像化するソフトウエアの開発を行っており、昨年、 大きなデータを小さく分割してアニメーションを作製する技術を開発した。 これにより、複数の計算機の総メモリ量を超える規模のデータを処理することが可能となり、論理上、 1台のPCでも無限の大きさのデータをアニメーション化することが可能となった。 このたび、これに動的負荷分散を可能とするAD-POWERSを組合せて、 遊休PCを有効利用した大規模データの可視化システムを構築した。 実証に使ったシステムは512MBのPCを36台。その総メモリ量は18.4GBだが、前述のように計算規模は、 それを遥かに上回る240GBである。今回は、これを32分割して逐次処理し、約8分でアニメーション化した。
これにより、従来、せっかく数値的には詳細な計算が行われているにも関わらず、見逃していた現象を発見することが可能となる。 特に、最先端の研究では統計量による評価だけでなく、人間の目で、圧力の分布や流れの様子を見て、どのような現象が起こっているかを判断し、 次のシミュレーションの指針を出す"ビジュアルデータマイニング"が重要である。 シミュレーション結果を定量的に判断するだけでなく、研究者の暗黙知を次の計算に生かすことにより、 計算・評価・再計算のサイクルの効率を飛躍的に向上することが期待される。
高価なマシンを利用することなく、大規模データのアニメーション化を実現することが可能であることが実証された。 今後、ぺタFLOPSクラスの高速計算機も登場し、さらに計算規模は大きくなる見込みである。 結果の評価用に高速・大規模用グラフィックス計算機の開発も望まれるが、ビジュアルデータマイニングは、 思いついたときに手持ちの計算機で自由に実施しできなければ意味が無い。 本システムを活用することで、論理上、一般の研究室にあるPCで、ぺタバイトクラスのデータもアニメーション化ができる。
PCのシステム諸元は以下の通り:
【環境】
・マスターPC1台(マスター専用)
富士通FMV E610
P4/2.6GHz 512MB 1Gbps通信LAN
WinXPPro SP2
・スレーブPC36台
富士通FMV E610
P4/2.6GHz 512MB 1Gbps通信LAN
WinXPPro SP2
・NAS
SPINAKER networks SPINSERVER4100
1Gbps通信LAN×2ポート
1TByte
・スイッチ×2
FOUNDRY networks Edgelron48G/24G
各スイッチは4Gbpsでカスケード接続
NASの口ごとにスイッチを分ける
スレーブPCは半数の18台ずづ分けた。
以 上
◎AVS/Express製品情報URL
http://www.kgt.co.jp/feature/express/
◎お客様お問い合わせ先
ビジュアリゼーション事業部
Tel.03-3225-0743, Fax.03-3225-0950
E-mail: avs-info@kgt.co.jp
◎東京理科大連絡先
東京理科大学 基礎工学部・講師 佐竹信一
Tel.0471-24-1501 ext. 4211
E-mail: satake@te.noda.tus.ac.jp
乱流は、たくさんの渦構造が集まってできており、今回のシミュレーションもたくさんの渦構造が確認された。 図は、速度の低速領域をあらわすストリーク構造のポリゴンデータである。 動画では、32フレーム、102GBのデータの動画を行った。
【用語解説】AVS/Express
米国Advanced Visual Systems社が開発した汎用可視化ソフトウエアで、(株)ケイ・ジー・ティーが日本国内の総販売元となっております。
ソース・コード改変権をもっております。
富士通株式会社、日本電子計算株式会社などが国内代理店。
AVSは、構造解析、流体解析、計算化学などの化学・技術数値計算や各種測定・実験結果の可視化に用いられてきました。
プログラミング知識を必要としない可視化環境を提供し、これまでに全世界に18,000本、国内に4,000本の販売実績があります。
三次元汎用可視化ツールとしては、最大のシェアーを有しています。
本製品には、基本的な可視化機能が網羅された「AVS/Express Viz (Visualization Edition)」と、
その強化版として可視化ソフトウェア開発ツールとしても使用できる「AVS Express Developer (Developer Edition)」の2タイプの製品があります。
AD-POWERS
AD-POWERs(エーディーパワーズ)は、1台のパソコンでは時間がかかる処理を、
身の回りにある普通のパソコンに処理を割振ることで高速化するソフトウェアで、
大日本印刷鰍ノよって開発されました。
我々のコンセプトとして「簡単に、安価に、継続的に、高速演算環境を構築することが可能」としており、
並列処理環境でこれらを実現するものであります。
シミュレーション
流れの基礎方程式をコンピュータによって解析し、シミュレーションするもの。
近年の計算機の著しい発達により、実験室実験、理論につぐ科学を解明する手段とて挙げられ、
ときには実験室実験と対比する呼び名で「数値実験」といわれるようになった。
乱流の数値計算では小さな渦構造をモデル化し、
大きな渦構造について解析する手法が LES(Large Eddy Simulation)と呼ばれる。
さらに、小さな渦構造まで直接解析するDNS(Direct Numerical Simulation)と呼ばれる。
MHD壁面せん断乱流
壁面せん断乱流は、乱流もいろいろ種類があるが、そのなかでも一番工業的に見られる、
または、一般生活でわれわれが目にしている乱流で、壁面に沿う形で乱流が生じていること。
例としてわれわれが目にするものとしては、水道管は円管内乱流である。
さらにMHD壁面せん断乱流は、壁面せん断乱流に磁場が印加されており、
例えば、核融合炉内の熱流動場や電磁ポンプ内の流動などがあげられる。